カメラ | OLYMPUS TG-6 |
レンズ | 本体ズームレンズ(テレ端側) |
ライト | UCS-Q1RC (スヌート仕様) |
フラッシュ補正 | マニュアル発光 |
撮影モード | Aモード |
F(絞り値) | F18 |
シャッター速度 | 1/100 |
露出補正 | 0.0 |
ISO(ISO感度) | 100 |
撮影地 | 慶良間 |
水中写真撮影においては、補助光として水中フラッシュまたは水中ライトを使って撮影しますが、補助光を使う撮影方法の中に、特に『スヌート撮影』と呼ばれる撮影方法があります。
スヌート撮影では、ライトやフラッシュの発光面に円筒状のアタッチメントを取り付けることで、光の照射範囲を限定的にし、被写体だけを露光させることで暗闇に被写体を浮き上がらせたような写真を撮影することができます。
今回は、TG-6とAOI製水中フラッシュ『Q1RC』を撮影機材としてスヌート撮影する方法をご紹介します。
(1)TG-6+Q1RCを使ったスヌート撮影におけるフラッシュ位置の決め方
スヌート撮影において、フラッシュ光やライト光は照射エリアが限定され、スポットライトのようになります。
そのため、被写体にピンポイントで当てる必要があり、スヌート撮影においてはこの部分が難しいところでもあります。
被写体に比較的簡単にスヌートの光を当てることができるフラッシュの位置の一例をご紹介します。
大切なポイントは、以下の二つです。
① スヌート発光口がカメラレンズの真上に位置するように設置する。
スヌート発光口が常にカメラレンズの真上にあるようにすることで、左右方向へのズレを極力小さくすることができます。
横方向にずれないようにすることで、フラッシュの縦方向の角度を合わせるだけで被写体にフラッシュ光を当てることが可能になります。
TG-6にQ1RC(スヌート仕様)を取り付けた状態。スヌート発光口がカメラレンズの真上に位置するように設置する。
② ハウジングに出来るだけ近い位置にフラッシュ本体を設置する。
フラッシュ本体の位置がハウジングから離れていると、それだけ角度を合わせるのが難しくなります。
ハウジングに出来るだけ近い位置にフラッシュ本体を設置しましょう。
横からの写真。ハウジングに出来るだけ近い位置にフラッシュを設置する。
⑵ TG-6の撮影モードは、Aモードを使用する。
次に、TG-6の撮影パラメータをご紹介します。
TG-6+Q1RCでのスヌート撮影のパラメータ設定
撮影モード:Aモード
仕上がり:水中
ホワイトバランス:水中WB2
絞り値:F18(ズームテレ端時)
シャッター速度:1/100(カメラが自動で選択)
露出補正:0.0
ISO感度:100
フラッシュモード:RCモード
フラッシュ補正:0.0
スヌート撮影では、スポット的に光が当たるところ以外はできるだけ暗く落とす必要があります。
そのため、撮影モードは『Aモード』を選択し、絞り値を最大まで大きくして露出を下限いっぱいまで下げます。
TG-6の絞り値は、ズーム位置によって変動するので、テレ端側いっぱい(4倍ズーム)にしないとF18にはならない点に注意して下さい。
フラッシュモードはTG-6、Q1RC共にRCモードを選択します。
特に、Q1RCはTTLで発光する場合、TG-6のフラッシュモードをRCモードにしないと撮影できませんので注意が必要です。
状況によってはマニュアル発光を選択すると、よりフラッシュ光量を自分好みにコントロールできます。
スヌート撮影に慣れてきたら、こちらも試してみると良いでしょう。
なお、TG-6には、『水中モード』が搭載されていますので選択したいところですが、
①水中モードではF値が最大F14までしか選択されない
②ISO感度がオートで固定されているため、自動的にISO感度が上がってしまう
という2つの理由で、スヌート撮影を可能にする露出に下げることが難しいです。
(3)スヌート撮影の手順
次に、実際に撮影する時の手順をご説明します。
① 撮影に適した被写体のサイズは3〜4cm程度
スヌートで使うフラッシュやライトのスポット光の照射範囲は、当然ながらスヌートの円筒の先端の直径に依存します。
また、スヌートから発光された光は、被写体に到達するまでに円錐状に拡散するため、スヌート先端と被写体との距離にも依存します。
今回使用しているQ1RCのスヌートで、上述したフラッシュの位置から撮影する場合、被写体のサイズは3〜4cm程度のものが適しています。
もちろん、それ以外のサイズのものも撮影することは可能です。スポットで照らすエリアのサイズにこだわるのもスヌートの面白さとも言えます。
② 被写体との撮影距離は、水中で約20cm
次に重要な点が、被写体との撮影距離です。
TG-6でAモードを選択した場合、最短撮影距離は水中で約20cm、男性の握り拳約2個分ほどになります。
今回ご紹介しているシステムでは、この最短撮影距離で撮影していただければ、3〜4cmくらいの被写体で程よいスヌート写真が撮影可能です。
サイズ4cmのウミウシフィギュアを撮影距離20cmで撮影する場合のカメラと被写体の位置関係
③ スヌートの光がしっかり被写体に当たるようにフラッシュの角度を調整する
距離が定まれば、後はスヌート先端が被写体にしっかり向くようにフラッシュの角度を調整します。
フラッシュ位置の決め方のところで前述していますが、
スヌート発光口が常にカメラレンズの真上にあるようにすることで、左右方向へのズレを極力小さくすることができます。
まずは、スヌート発光口が常にカメラレンズの真上にあることをしっかり確認して下さい。
その後、フラッシュの縦方向の角度を合わせて被写体にフラッシュ光を当てていきます。
スヌートのフラッシュ光が被写体に当たっているかを確認する時、Q1RCのTESTボタンを長押しするとフラッシュが連続点灯して、スポットエリアを確認することができます。
Q1RCはライト照射も可能ですが、残念ながらスヌートアタッチメントを装着した場合はスヌート光にはならないため、ここでは役に立ちませんのでご注意下さい。
Q1RCのTESTボタンを長押しすることでフラッシュが連続点灯し、スポットエリアを確認することができる。
次が、実際に撮影した写真になります。
ウミウシフィギュアが暗闇に浮き上がるように撮影できました。
ウミウシフィギュアをスヌート撮影。
フィギュアのサイズ:4cm
撮影距離:20cm
では、実際に海で撮影した写真をご紹介します❗️
シンデレラウミウシ
ハマクマノミ
キスジカンテンウミウシ
ハタタテハゼ
TG-6とQ1RCを使ったスヌート撮影術、いかがでしたでしょうか。
スヌート撮影についてもっと詳しく撮影方法を知りたいという方はもちろん、その他の水中写真の撮影方法を知りたい方に、
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ワンポイントアドバイス
TG-6とQ1RCを使ったスヌート撮影では、次のことに気をつけて撮影しましょう。
- スヌート発光口がカメラレンズの真上に位置するように設置する
- ハウジングに出来るだけ近い位置にフラッシュ本体を設置する
- TG-6の撮影モードは、Aモードを使用する
- 撮影に適した被写体のサイズは3〜4cm程度
- 被写体との撮影距離は、水中で約20cm
- スヌートの光がしっかり被写体に当たるようにフラッシュの角度を調整する