2024年ホエールスイムシーズンイン間近!!昨シーズン沢山の感動と自然の厳しさを改めて教えてくれたホエールスイム。ただクジラに会いたいだけでなく、どうやったらこの先クジラとダイバーが共存していけるのか?!それにはまず、クジラに与えるストレスを最小限に抑える事が大事だと思います。昨シーズン毎日出航させて頂き感じた事をお伝えし、来シーズンご参加予定の方はご参考にして頂きたいです。
2024年ホエールスイム開催決定!!
開催期間2024/1/21〜3/21
募集定員:12名
間違った「スイム」がクジラにストレスを与えてしまう
今回は『ホエールスイム』のメニュータイトルにある『スイム』についてお話しさせて頂ければと思います。
初めてご参加されるお客様は『スイム』とついているので、泳いでクジラを見たり、素潜りをしてクジラを見るものと思うかもしれません。ですが、これは間違いです。
それだったらわかりやすいように、メニュー名を『水面クジラウォッチング』に変えてくれなんて思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
なぜ泳いだらダメなのか?泳いだらクジラにどういった影響を与えるのか?来シーズンホエールスイムに参加される方は是非ご参考にして頂ければと思います。
『スイム』=泳ぐとは?
皆さんは『泳ぐ』と言ったらどの様な姿勢を想像されますか?おそらく多くの方が水面にうつ伏せになり、顔を水につけ手や足を動かし進む事を想像されると思います。
ホエールスイム中はカメラを持って入水される方がほとんどです。なので手をクロールの様に動かしクジラに近付く方はいませんが、足を動かし水しぶきを上げて泳ぐ方はちらほらみられます。
この動作がホエールスイムでは禁止されています。
スイム中禁止されている『泳ぐ』動作m
『移動』するとは?
泳ぐ事も、移動する事も同じじゃないか!
そんな声が聞こえてきそうですが、
弊社ではホエールスイム中はこの『泳ぐ』と『移動』で違いを明確にさせて頂いています。
ここで言う『移動』がどういう動作を指すかと言うと、まず水面に対して体を垂直に立てます。
顔を水につけず完全に水面から出てる状態になります。この時目線は目標の移動先になる、ガイドが持つオレンジ色のフラッグに向けます。
この状態でゆっくりフィンキックをします。
立ち泳ぎをしてる様な姿勢と言えばわかりやすいでしょうか?
完全にフィンが水中に入っているので、
水しぶきをあげる事はなく、クジラに与えるストレスも最小限に抑える事ができます。
『移動』が必要な時はどんな時?
入水の際、船は完全には止まっていません。
プロペラは完全に止まっていますが、惰性で動いています。入水するタイミングによってはガイドから少し離れてしまう事があります。
ガイドから離れてしまうとクジラが見えなかったり、安全管理ができなくなる恐れがあります。
離れている方がいた場合、ガイドは近くに来るようお声掛けしますが、基本的にはクジラの位置をキープしなければいけませんので、緊急時以外はその場を離れれません。
ガイドが持つフラッグの所まで速やかに各自で『移動』して下さい。
ガイドが持つ目印のオレンジ色の旗
移動をやめるタイミングですが、ガイドが持つフラッグにたどり着いた場合、もしくは移動中クジラが見えた時は完全に移動をストップして下さい。
ガイドを追い越す事はしないで下さい。
クジラを追いかける事も絶対しないで下さい。
クジラを観察する時は完全に静止してる状態です。
弊社では『流木』になって下さいとお伝えしてます。動かない事、それが1番クジラへのストレスを最小限に抑える事だと思います。
観察中は動かず『流木』になりきって下さい
泳ぐ事でクジラに与える影響
クジラは水しぶきを上げながら近付いてくる人を嫌がり逃げます。もちろん強引なアプローチをして船で追いかけ回す事なんてもってのほかです。
子育て中のクジラは特に神経質になっています。嫌がり逃げるのは当然の事だと思います。
人間に置き換えるとよく気持ちがわかると思います。見ず知らずの人が猛烈な勢いで急に近付いて来たら、怖いですし、逃げますよね?
ましてや自分の子供に向かってきたら親は全力で守りますし、逃げると思います。
追いかけられたらなおさら恐怖でしかないですよね。一度怖い印象を与えてしまうと、その後人を嫌がりシーズン中遊んでくれなくなったりする可能性もあります。
もしかしたら、その次のシーズンも人を嫌がる可能性だってあるかもしれません。
なんにせよクジラにストレスを与える事は全く0にするのは難しいかもしれませんが、最小限するようにしましょう。
クジラにストレスを与えてクジラが見られなくなり、『ホエールスイム』が開催できなくなったなんて事になったらとても悲しいですからね。
クジラへのストレスが減るとよりスイムは成功する
クジラに与えるストレスを最小限にする為、アプローチをするまでの時間をゆっくりかけて慣れさせる。観察する時も泳いだり、追いかけたりしなければクジラを観察できる確率は確実に上がります。
たとえ近くでクジラが見れず通り過ぎたとしても、『流木』スタイルを崩さず、泳ぐ事をグッと堪えればクジラが嫌がる事は無く、その後何度も同じクジラにアプローチできる確率が高くなります。
結果クジラを観察、撮影できるチャンスが増えるのです。
泳ぐ事が必要になる時
ホエールスイム中泳ぐ事が禁止されてるとお話ししましたが、例外もあります。
例えば『流木』スタイルでクジラを観察している時、クジラから寄って来る事があります。
途中で避ける個体もいれば、中には興味を持って突っ込んでくる個体もいます。
クジラが進路を変えずぶつかりそうな時は泳いで逃げて下さい。ぶつかって怪我をしたら大変ですからね。
観察中クジラの行動が変わり、テールスラップなど威嚇的な行動が始まった時も逃げて下さい。身の危険を感じた時は迷わず泳いで逃げて下さい。
最後に
ホエールスイムやホエールウォッチングがクジラにもたらす影響について、世界の各地で調べられていますが、日本ではそうした研究がまだほとんど無く調査中になります。
正直な所どういった影響があるかわかりませんが、追いかけ回したり嫌がる事をしてストレスを与えるのは間違いなくマイナスな要因になると思います。
それが原因でホエールスイム、ウォッチができなくなったなんて事にならないように全ての方が高い意識を持ってルールを守りクジラに敬意を払って参加して頂ければと思います。
ワンポイントアドバイス
•クジラに与えるストレスは最小限にするために
- ホエールスイムは泳ぎません
- クジラの自然な動きを妨げません
- 観察中は流木スタイルを守りましょう
- 移動する時はフィンを水中に入れ水しぶきを上げない様に
- クジラの行動が変わり危険を感じた時は泳いで逃げる
- 参加する皆んながクジラに敬意を払ってルールを守りましょう