カメラOLYMPUS TG-6
レンズ本体ズームレンズ(ワイド端)
ライト無し
フラッシュ補正発光禁止
撮影モード水中スナップモード
F(絞り値)2.8
シャッター速度1/160
露出補正0.0
ISO(ISO感度)100
撮影地ナガンヌ島南

ダイビングをすることによって見ることができる海の中は、色とりどりのサンゴ礁や真っ赤なソフトコーラル、鮮やかな体色を持つ魚たちなど、美しい色彩に満ちた世界です。

しかしなから、太陽の光、つまり自然光によってその色彩を楽しめるのは透明度の高い沖縄の海であっても水深およそ4〜5mまでの浅瀬のみで、それより深い場所では海の水によって赤色やオレンジ色といった暖色系の光の波長が吸収され、鮮やかさが失われてしまいます。

水中写真撮影では、この海の水によって鮮やかさが失われて全体が青みの強い写真になる現象を『青かぶり』と表現されます。

この青かぶりを解消する方法として、水中フラッシュや水中ライトを使用し、失われた色彩を補う方法が広く知られていますが、今回はカメラの『ホワイトバランス』を調整する方法、特にオリンパスTG-6の『ワンタッチホワイトバランス機能』を使用し、青かぶりを解消する方法をご紹介します。

(1)ホワイトバランス(WB)とは

ホワイトバランス(WB)とは、簡単に言うと『撮影時の光の環境下で、白い色のものを白く見せる(撮影する)機能』です。

日中の太陽光の下で白く見えている紙を白熱電球の光の下で見た場合、少しベージュがかった色に見えたり、同じ紙を蛍光灯の下で見ると青白く見えたりするのを経験されたことがあると思います。

これは撮影時の光の環境や光源によって発色が変化するためです。

WBの調整とは、太陽光と異なる光の環境下においても白い紙を白く撮影できるようにカメラ側の色の調整を行うことになります。

(1)ワンタッチホワイトバランス(ワンタッチWB)

オリンパスTG-6には、『水中撮影モード』が搭載されていて、加えて『水中用オートホワイトバランス(水中WB)』が設定されています。

TG-6の水中WBは、水中環境下の光に対して自動で色を調整してくれる優れたオートホワイトバランスですが、その調整幅には限界があり、自然光撮影時に撮影者が希望する鮮やかさに対して調整の程度が不足し、青かぶりになることがあります。

水深約10mにて、水中スナップモード、水中WB1(浅瀬)を選択して撮影した写真。海のブルーの発色はとても良い反面、サンゴ礁が青かぶりしている。

こんな時、効果的なのがワンタッチWB機能です。サンゴ礁の青かぶりがおさえられ、発色が鮮やかになっています。

水深10m付近で撮影した写真。水中スナップモードでワンタッチWBを取得、それを使って撮影した。サンゴ礁やダイバーの青かぶりが抑えられ、全体的に鮮やかになっている。

(3)ワンタッチホワイトバランスの取得方法

それでは、TG-6でのワンタッチWBの取得方法を説明します。

① フラッシュモードはOFFにする

フラッシュやライトを使用しない自然光撮影におけるWBを取得したいので、フラッシュモードは発光禁止を選択します。

② 撮影画面でOKボタンを押す

撮影画面でOKボタンを押します。

水中スナップモードでの撮影画面。ここでOKボタンを押す。

③ 画面右側の縦に並ぶメニューバーでホワイトバランス(WB)のアイコンを選ぶ

撮影画面でOKボタンを押すと、画面右側のメニューバーに入るので、十字ボタンの上下でWBのアイコンを選択します。

画面右側の縦に並ぶメニューバーでホワイトバランスのアイコンを選ぶ。

④ワンタッチWBの1〜4のいずれかを選ぶ

十字ボタンの左右で、ワンタッチWBの1〜4のいずれかを選択します。

ここでは1を選択しました。

十字ボタンの左右でワンタッチWBの1を選択した。

⑤ INFOボタンを押し、カメラを白いものにむけてシャッターレバーを押す。

画面に『WB取得INFO』の表示が出ています。ここでINFOボタンを押します。

すると、『白い紙にむけて撮影してホワイトバランスを設定します』という表示が出ますので、白いもの(白いフィンやプラスチック板)にむけてシャッターレバーを押したのち、実行を選択してOKボタンを押します。

これで、ワンタッチWBの取得が完了します。

この画面で白い物(白いフィンや白いプラスチック板など)にカメラを向けてシャッターレバーを押す。

(4)ワンタッチWBを使った自然光撮影で気をつけたいこと

① 深度ごとにワンタッチWBを取得、選択する必要がある

海中では、撮影する深度によって自然光が大きく変化しています。

そのため、撮影する深度ごとにワンタッチWBを取得する必要があります。

ワンタッチWBは1〜4まで記憶させることができるので、3m、6m、9m、12mというように深度別にワンタッチWBを取得しておいて、深さに合わせて適したWBを選択するようにすればスムーズに撮影できます。

② ワンタッチWBを正確に取得できる深度は12〜15m位まで

とても効果の高いワンタッチWBですが、取得できる深度には限界があり、慶良間海域で12〜15m位です。それ以上の深場では調整範囲を超えてしまいますのでご注意下さい。

③ 水中フラッシュや水中ライトなどの補助光は使用しない

ワンタッチWBは自然光で取得していますので、フラッシュやライトは使用せずに撮影して下さい。

ワンタッチWBを選択した状態でフラッシュ、ライト等の補助光を使用して撮影すると、真っ赤な写真になってしまいますので注意して下さい。

自然光環境下で取得したワンタッチWBを選択してフラッシュを使用した写真。真っ赤な写真になった。

④できるだけ逆光での撮影を避ける

自然光撮影では、太陽に向かって撮影する逆光では、魚やサンゴ礁が影になり、暗い写真になってしまいます。

できるだけ逆光を避け、横側から光がさす斜光や、背中側から照らされる順光で撮影して下さい。

いつも太陽の位置を確認しながら撮影するよう心がけましょう。

ワンタッチWBを取得、選択した状態で、水面を見上げて撮影。逆光になり暗い写真になった。

では、次に作例をご覧ください。

TG-6+ワイコンUWL-400 水中スナップモード、水深12mでワンタッチWBを取得し自然光撮影。

TG-6+ワイコンUWL-400 水中スナップモード、水深8mでワンタッチWBを取得し自然光撮影。

TG-6+ワイコンUWL-400 水中スナップモード、水深5mでワンタッチWBを取得し自然光撮影。

TG-6+ワイコンUWL-400 水中スナップモード、水深10mでワンタッチWBを取得し自然光撮影。キンギョハナダイの色が鮮やかに表現されている。

TGシリーズをお使いの方は、このワンタッチWBを使った自然光撮影のテクニックをマスターして、ご自身の表現方法の幅を広げて下さい!

ワンポイントアドバイス

ワンタッチWBを使った自然光撮影では
次のことに気をつけて撮影しましょう。

  • 深度が変わるとワンタッチWBを取得、または選択し直す必要がある。
  • フラッシュやライトなと補助光は使わずに撮影する。
  • 逆光は極力避けて順光で撮影する。
  • ワンタッチWBを正確に取得できる深度には限界がある。