カメラ | OLYMPUS E-M1 mark Ⅱ |
レンズ | M.ZUIKO 8mm FE |
ライト | なし |
フラッシュ補正 | 発光禁止 |
撮影モード | Sモード(シャッター速度優先) |
F(絞り値) | 4 |
シャッター速度 | 1/200 |
露出補正 | 0.0 |
ISO(ISO感度) | 200 |
撮影地 | 沖縄本島 |
(1)沖縄本島海域にて冬季限定で開催されるホエールスイム
冬の沖縄本島海域で開催されるホエールスイムは、海の大自然を垣間見ることかできる期間限定のビッグイベントです。
全長13m超、体重30tと言われる大人のザトウクジラや、子クジラと母クジラが一緒に泳ぐ姿、水中で鳴き声を奏でる『シンガー』と呼ばれる個体など、とびきりのネイチャーシーンとの遭遇は、他では体験できない特別なものです。
ザトウクジラを間近で観察するだけでも充分エキサイティングですが、水中写真好きなら一度はクジラを水中撮影したいところです。
今回は、ホエールスイムでのザトウクジラの撮影方法をご紹介します。
(2)クジラ撮影は短期決戦。事前の設定が大切。
ホエールスイム中の撮影について考えた時、普段の水中写真撮影と比較して最も大きな違いは、『撮影可能時間が圧倒的に少ない』ということです。
もちろん、何度も繰り返しホエールスイムを行う中には、長時間にわたって撮影者の至近距離に来てくれるという奇跡も起こり得ます。
しかし、実際はほとんどが1回につき数秒以内のエンカウントですので、撮影中にいろいろと設定を変えて撮る余裕はありません。
少ないチャンスをしっかり活かす必要がありますので、事前に適切なカメラ設定を決めておいて、ピント合わせと構図作りに集中したいところです。
以下に、撮影時の具体的な設定パラメータを紹介します。
カメラ:OLYMPUS E-M1 markⅡ
レンズ:MZD8mmFISHEYE
撮影モード:Sモード(シャッター速度優先)
シャッター速度:1/200
ISO感度:オート
露出補正:0.0
フラッシュモード:発光禁止
保存形式:RAW+JPEG
(3)シャッター速度は少なくとも1/200以上を確保する。
設定を決めるにあたって、最優先したいのがシャッター速度です。
ザトウクジラは速いときは時速25km/hの速度で泳ぐと言われています。
撮影者も波のある水面に浮かんでの撮影になりますから、被写体ブレと手ブレが起きやすい撮影環境と言えます。
被写体ブレと手ブレを防ぐことができるシャッター速度を確保することがとても大切です。
今回撮影に使用した撮影機材(OLYMPUS E-M1 markⅡ+MZD8mmFE)では、1/200以上のシャッター速度が確保できれば、手ブレ、被写体ブレが起きませんでした。
手ブレや被写体ブレが特に心配な方は、ISO感度の上昇に気をつけながらシャッター速度を1/300〜1/500ほどに上げても良いでしょう。
今回、曇り空の環境で露出が暗くなってしまわないようにISO感度設定をオートにしていましたが、ISO感度は500以上に上昇することもなく、高感度になることで画質が低下する問題も起こりませんでした。
(4)使用する撮影機材、撮影時の環境で撮影パラメータの設定は変化する。
ここで気をつけていただきたいのが、今回ご紹介した設定が全ての撮影機材や撮影環境に適しているというわけではないということです。
撮影に使用されるカメラの機種やレンズによっては、撮像素子のサイズ規格、手ブレ補正機能の性能やレンズそのものの明るさ(開放F値)の違いによって、被写体ブレと手ブレを防ぐシャッター速度の限界値や、被写界深度などの光学的特性が異なります。
使用する撮影機材、天候や海況といった撮影環境により適切な設定パラメータはその都度変化することをご承知おき下さい。
★ご自身が使用されている撮影機材における適切な撮影設定を知りたい方は、ぜひマリーンプロダクトのホエールスイムにご参加下さい。
(5)ホワイトバランスは『水中ホワイトバランス』を選択。理想的な色にしたい場合は保存形式にRAWを選択し、画像編集で行う。
クジラ撮影におけるホワイトバランスですが、オリンパス製カメラであれば、『水中ホワイトバランス』を選択して撮影します。
ただ、適切なホワイトバランスはクジラとの距離とクジラの泳ぐ深度により大きく変化します。
特に、クジラに近づき過ぎると危険が伴うというホエールスイムの性格上、被写体が青っぽく写る『青かぶり』の影響を受けないような近い距離ではなかなか撮影できませんので、クジラの体色がイメージ通りにならない場合がほとんどです。
RAWデータで撮影しておいて、画像処理で理想的な色に近づけるのが良いでしょう。
(6)エントリー直後にポートに付いている気泡をしっかり払っておくのを忘れずに。
ホエールスイムでは、海にエントリーした直後にクジラと遭遇する可能性が充分にあります。
エントリー直後はポート面に気泡が残っている場合があり、そのまま撮影すると写真に写り込んでしまうことがあります。
必ずポート面の気泡を払うのを忘れないようにしましょう。
些細な事ですか、作品の出来に関わる事ですので気をつけたいところです。
(7)カメラを横位置、縦位置の両方で撮影する。
クジラが視界に入ると、その迫力に圧倒されがちですが、ただがむしゃらにレリーズを切るたけではなく、できれば構図にも考えを巡らせたいものです。
とはいえ、短い撮影時間の中で細かい構図作りは難しいもの。
なので、手軽にできる構図作りであるカメラの横位置構図と縦位置構図の両方を撮影しましょう。
同じ位置からの撮影でも、横位置、縦位置を変更する事で印象の違う写真を撮影することができます。
特に、親子クジラが上下に並んだ時など縦位置構図が有効です。
ワンポイントアドバイス
ホエールスイムでのクジラ撮影時には、次のことに気をつけて撮影しましょう。
- クジラ撮影は撮影設定を事前にしっかりと決めておく。
- 撮影機材OLYMPUS E-M1 markⅡ + MZD8mmFEではシャッター速度優先モード(Sモード)を選択し、シャッター速度1/200を確保して手ブレと被写体ブレを防ぐ。
- 撮影に使用するカメラやレンズの機種、天候や海況など撮影環境によって適切な撮影設定は変化する。
- ホワイトバランスは『水中WB』を選択。保存形式はRAW+JPEGで。
- エントリー直後にポート面の気泡をしっかり払う。
- 横位置構図と縦位置構図を撮影する。