カメラ | OLYMPUS TG-6 |
レンズ | UWL-400A |
ライト | Q1RC |
フラッシュ補正 | 0.0 |
撮影モード | 水中ワイド |
F(絞り値) | 2.8 |
シャッター速度 | 1/125 |
露出補正 | -2.0 |
ISO(ISO感度) | 100 |
撮影地 | 慶良間 |
ワイドレンズを使っての水中写真撮影は、特に透明度の高い沖縄の海でぜひチャレンジしたい撮影です。
ワイドレンズを使用することで撮影できる画角が広がるため、それをカバーするために外部フラッシュを2個使用することが推奨されます。
フラッシュは、被写体の青かぶりを解消し、色鮮やかに撮影するために有効な機材ですが、被写体にしっかりフラッシュ光が当たるように設置する必要があります。
今回は、ワイドレンズセット+外部フラッシュ2個の撮影機材を使って、『リュウキュウイソバナ』を被写体として撮影する場合のフラッシュの上手な当て方をご紹介します。
(1)最初に『構図』をしっかりと決める。
撮影時のフラッシュの位置や角度を決めるためには、被写体との撮影距離をどうするか、被写体を画面のどの位置に置いて撮影するかなど、『構図』がしっかり決まっている必要があります。
構図が変われば、フラッシュの適切な位置や角度も変わります。
被写体を前にすると撮影したい気持ちが先走りがちですが、慌てずに先ずはじっくりと被写体を観察し、最初にどういう構図で撮影するかしっかりと決めましょう。
(2)構図が決まったら『露出補正』で『海の青さ』を調節する。
撮りたい構図が決まったら、次に『露出補正』を使って海の青さを撮りたい色にしましょう。
『フラッシュの当て方を知りたいのに、フラッシュの話が出てこない』と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、水中写真においてはいつでも、
①構図の決定
②露出補正(海の青さ)の決定
③フラッシュの決定
という順番を守っていただく必要があります。
なぜなら、①構図の決定と②露出補正の決定は、両方ともフラッシュの決定に影響するからです。
つまり、構図と露出補正がしっかり決まっていないとフラッシュの位置や光量を決められないということです。
(3) 2灯フラッシュのアーム基本位置は『飛行機の翼』の位置。
構図、露出補正が決定したら、いよいよフラッシュの位置を決めていきます。
2灯フラッシュの基本的な位置は、『飛行機の翼』のイメージになります。
フラッシュはカメラの左右に置いて、カメラよりやや後方にします。
この時、フラッシュの発光面は、必ずグリップより前に出ないように気をつけて下さい。
フラッシュが前方に出過ぎると、フラッシュ光が直接レンズポートに照射され、画像に映り込むことがあります。
撮影に夢中になると、フラッシュが前に出過ぎる傾向がありますので、確認しながら撮影しましょう。
フラッシュ光をできるだけ広く届けるために、フラッシュアームはできるだけ伸ばします。細かいですが、接続クランプとアーム本体が一直線になるようにすると長さを稼ぐことができます。
イソバナを撮影する場合、構図として『イソバナを画面内でどのくらいの大きさに撮りたいか』によって、イソバナとの撮影距離を決定します。
イソバナ自体を強調したい場合は、イソバナが画面いっぱいになるようにしっかり近くで撮影します。
イソバナの背景の様子や、一緒に魚の群れを撮りたい場合は、少し距離をとって撮影します。
イソバナとの距離が決まったら、フラッシュの発光面が主役のイソバナに正対するように角度を調整します。
上から見ると、フラッシュ光の通り道は『ハの字』になります。
ここまで準備ができたら、いよいよ撮影していきます。
(4)撮影した画像を再生し、フラッシュ光の当たり具合を細かく確認する。
次に、実際撮影した画像を見ていきます。
一枚撮ってみました。今回はイソバナ主役なので、画面に大きく撮るためにしっかり近くで撮影しています。
画像再生して確認すると、画像右側が左側に比べてやや暗くなっているのがわかります。
フラッシュの位置を確認してみると、右手側のフラッシュの発光面がイソバナに対してしっかり正対していないことがわかりました。
(5)フラッシュ光がイソバナに均一に当たるようになるまで、細かく位置と角度を調節する。
右側のフラッシュ光の当たり方が弱いことに気付き、右側のフラッシュの発光面をしっかりイソバナに正対するように調整して再度撮影しました。
一枚目の写真と比較して、イソバナの左右両側に均一にフラッシュ光が当たるようになりました。
このままでもかなり改善されましたが、さらによく観察すると、イソバナの右下の黒く見える部分にもイソバナの枝があるのがわかりました。
なぜそこの部分が暗くなっているのかよくまわりを観察したところ、右手側のフラッシュの前方に岩(サンゴ礁)が盛り上がった部位があり、フラッシュ光を部分的に遮っていることがわかりました。
そこで、右手側のフラッシュの位置を持ち上げて、さらにフラッシュ発光面を少し水底側に向けることで盛り上がった岩をかわすようにしました。
フラッシュ位置と発光面を調整して再度撮影したのが次の写真です。
イソバナの右下の暗くなっていた部位にもフラッシュ光がしっかり当たり、イソバナ全体にフラッシュ光が均一に当たるようになりました。
今回被写体に選んだイソバナは位置が動かない被写体なので、時間をかけて構図、露出補正、フラッシュ位置など水中写真における重要なテクニックを練習するのにもってこいの被写体の一つと言えます。
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ワンポイントアドバイス
『リュウキュウイソバナ』にフラッシュを均一に当てて撮影するために次のことに気をつけましょう。
- 最初に『構図』をしっかりと決める。
- 構図が決まったら『露出補正』で『海の青さ』を調節する。
- 2灯フラッシュのアーム基本位置は『飛行機の翼』の位置。
- 撮影した画像を再生し、フラッシュ光の当たり具合を細かく確認する。